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古典芸能入門

歌舞伎、文楽、落語に能、クラシックコンサートといわれると、なんだか敷居が高いと思っている方もいるでしょう。 でも歌舞伎にしても文楽にしても昔は庶民の娯楽でした。芸が芸能になり芸術になってしまうともはや文化の領域で自分とは関係ない世界のものと思ってしまったら人生の楽しみは半減します。 このコラムは観客歴40年以上という篠原安心院(しのはらあじむ)さんが、独自の視点で作品を楽しむポイントや役者の話、作品の背景からチケットの買い方、劇場の席を選ぶ方法などがわかる古典芸能をすんなり楽しむためのポイントを優しく親切に教えてくれるコラムです。 安心院さんの厳しくかつ軽妙な文章を読めば、いつしかあなたも古典芸能通になれます。お楽しみに!

Vol.183. 文楽・歌舞伎 「 良弁杉由来 」

2011年3月10日(木)

 もう半世紀も前になります。修学旅行で奈良を訪れ東大寺にも参りました。二月堂も見学し、案内の坊さんから“お水とり”の話を聞きましたが、その時に“良弁杉”も見た覚えがあります。二月堂の屋根よりも高く聳えて居た印象でして、良弁上人の伝説も聞かされたと思います。その後の知識として、あの杉の木は昭和36年に台風が来て倒れ、現在は二代目である事を知りました。今回取り上げますものは、その杉の木を巡るお話なのです。

 

 観音様の徳を称える三十三段続きの長い台本(作者不詳)があったらしいのです。観音様の信仰の篤かった明治期の名人二代目団平が、文筆の才に恵まれた女房の千賀女の協力を得て新作として作曲致し世に出して、今や古典として文楽でも歌舞伎でもしばしば上演されるのが、この良弁杉と壷坂の二つの出し物です。

 

粗筋

 

・    志賀の里の段。一年前に病で夫を失った渚の方は、忘れ形見の光丸を連れて、侍女達に囲まれ近くの茶畑へ茶摘がてらの遊山です。三年前に夫の前でここの場所で舞を舞ったものだと、再び舞い始めます。すると比叡颪の突風が吹き、これに乗って大鷲が飛び来たり、いきなり光丸を攫って飛び去ります。渚の方は跡を追いかけます。

 

・    桜宮物狂いの段。あれから無慮三十年、渚の方は正気を失いつつ我が子を求めて彷徨います。此処は、大阪、春爛漫の桜宮、満開の桜の下で、花売りや吹き玉売りが行きかいます。そこへ、年取った渚の方が粗末な衣装を着てしかも自分は三十年歳を取って居ない風情で現れます。里の子達に囲まれて子守唄等歌っている時、川の表に写った自分の姿を認めて、フッと正気に返ります。志賀の里へ帰ろうと乗った船で、良弁上人の話を聞くのです。

 

・    東大寺の段。兎も角着いた東大寺ですが、相手はお上人様、簡単には会えません。通り掛かりの親切な坊さんが、身の上を書いて、上人が毎日お参りする杉の木に貼って置けば、良弁さん読むかも知れない、とその書付まで書いて呉れます。

 

・    二月堂の段。渚は、書付を大木の幹に貼って、近くに潜みます。上人の行列がやって来て、良弁は目敏く書付を見つけます。渚を呼んで、この書付の話と自分の物語はダブルけれど、自分は小さくて何も覚えが無い、貴方は何か目印か証拠になる品をその子に持たせなかったか、と聞きます。渚は、錦のお守りの袋に入れた“如意輪観音”の小さなお像を持たせたと応えます。良弁が「それはこれですね」と彼が肌身離さず持って居たお守り袋を取り出します。こうして、二人は観音様のご利益で再会出来たのです。

 

見どころ聞きどころ

 

先ず、志賀の里の段で八雲と呼ばれる二弦琴が使われます。やや特殊な雰囲気のある琴ですので、ご注意下さい。又、名人団平の見事な曲付けが随所に窺えまして、三味線を追うのも楽しい一曲です。

 

桜宮の段では、正気を逸して居る渚が、川に写る自分を見てフッと正気に返るのですが、首(カシラ)も装束も同じで、正気に返ったと気付かせるのは、中々腕の要る事であろうと思います。

 

歌舞伎でも、殆ど同じ脚本で時々上演されます。舞台が大きいだけ建物の構造も大きく、坊主や所化も沢山出て来ます。それだけ見栄えがします。機会を見つけて是非見比べて下さい。



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この投稿は 2011 年 3 月 10 日 木曜日 8:30 AM に 未分類 カテゴリーに公開されました。 この投稿へのコメントは RSS 2.0 フィードで購読することができます。 コメントを残すか、ご自分のサイトからトラックバックすることができます。

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