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古典芸能入門

歌舞伎、文楽、落語に能、クラシックコンサートといわれると、なんだか敷居が高いと思っている方もいるでしょう。 でも歌舞伎にしても文楽にしても昔は庶民の娯楽でした。芸が芸能になり芸術になってしまうともはや文化の領域で自分とは関係ない世界のものと思ってしまったら人生の楽しみは半減します。 このコラムは観客歴40年以上という篠原安心院(しのはらあじむ)さんが、独自の視点で作品を楽しむポイントや役者の話、作品の背景からチケットの買い方、劇場の席を選ぶ方法などがわかる古典芸能をすんなり楽しむためのポイントを優しく親切に教えてくれるコラムです。 安心院さんの厳しくかつ軽妙な文章を読めば、いつしかあなたも古典芸能通になれます。お楽しみに!

Vol.180 古典音楽 「 ベートーヴェン 交響曲第七番 」

2011年2月13日(日)

 今回は、交響曲の第七番です。実はこの曲は迫力に富んだ大変な名曲なのですが、それだけに多くの人が種々の印象を残して呉れて居ます。先ずはそのご紹介から始めましょう。

 

 先ずベートーヴェンご自身の言葉としては「自分は人類の為に、甘美な葡萄酒を醸す酒神となり、人の魂に神聖な陶酔を与えるべくこの曲を作った」と語ったらしいのです。ですから人生とか死とか孤独・苦悩と言った形而上学とはやや距離のある曲として構想されたのかも知れません。

 

 ワーグナーはこの曲を「舞踏の神聖化」と呼び高く評価すると共に、リストが編曲したピアノ版に合わせて実際に踊ったとも伝えられます。

 

 フランスの作家ロマン・ローランは、上記の作曲者自身の言葉を敷衍する形で「この曲は全く泥酔者の作である。巨大な哄笑を伴う激情の興奮、惑乱する諧謔の閃き、思いもよらぬ恍惚・悦楽の態、全く酩酊した人の作である」

 

 もう一歩進めてウェーバーは「ベートーヴェンは今や精神病院行きだ」とその印象を語って居るらしいのです。

 

 さて、これだけ揃いますと聞きたくなりませんか。楽章毎に明確に現れるその楽章を特徴付けるリズム、その多様性により上に述べられた様な印象を与える楽曲が展開して行くのです。ですから、興奮を伝えるリズムは、極めて際立って居ます。唯、同時に注目したいのは、この曲は古典的な交響曲、つまりソナタ形式の第一楽章に始まり、ゆっくりした楽章、スケルツオの楽章、そして早い終楽章と、極めて整った形式を踏んで作曲されて居る点です。そういう意味では、彼の交響曲の中で一番“古典的”形式美を持った曲と言えるかも知れません。各楽章に付いて一言ずつご紹介致しますと、

 

・    第一楽章 長大な序章がありその後オーボエが印象的なメロディーを奏でます。第一主題は、付点の付いたリズムを背負ってフルートが展開し、以後様々に発展します。

・    第二楽章 やや沈鬱な感じのテーマが出て来ます。侘しくて厳粛と感じられるかも知れません。この単純なリズムが執拗に繰り返される中、極めて豊な和声が聞えて来ます。

・    第三楽章 スケルツォの楽章で、早い三拍子の曲です。活気に溢れ弾力に富んだ感じのリズムが、粗野な快活さとか生の歓喜とか言われる曲を彩って進みます。

・    第四楽章 熱狂的な感じの終曲となって居ます。放歌乱舞・粗暴・野蛮な歓喜・溌剌とした生命の燃焼、そんな風に語られる部分なのです。同じリズムが早いテンポで繰り返される内に高まる熱狂感の中で、圧倒的な終曲を迎えます。

 

さて、どうやら美酒にご機嫌なベートーヴェンが、その機嫌の良さを我々に分かち与えるべく作ったとも言えるこの曲ですので、これも実演を楽しんで下さるのが一番な事は言うまでも在りません。録音媒体も数多くあります。僕の個人的な思い出は、40年以上前に、コンセルト・ヘボーがヨッフムの指揮で、文化会館で行った演奏が忘れられません。指揮者・演奏者・観客の熱気が、奇跡の様に一点に集中した感じで、素晴らしい名演でした。楽隊が引き上げた後の舞台に指揮者が5回・7回と呼び出されたのも良く覚えて居ます。実演をこまめに聞いて居るとこう言う風な機会に出会う事も在るのです。



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この投稿は 2011 年 2 月 13 日 日曜日 8:15 PM に 未分類 カテゴリーに公開されました。 この投稿へのコメントは RSS 2.0 フィードで購読することができます。 コメントを残すか、ご自分のサイトからトラックバックすることができます。

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